さくら色 〜好きです、先輩〜

翌日の朝。


「それホント!?」


里美に昨日の放課後に庭で会った先輩の話をした。


「うん…多分、あの人は桜井先輩本人だと思う」

「だけど、先輩は県外の高校に行ったんじゃ…」


里美は意味がわからないと言わんばかりに頭を捻っている。


「それでね、昨日ネットで先輩が行ったその高校のサッカー部について調べてみたの。そしたら新人戦の選手名簿に先輩の名前が確かにあったんだ」

「なら、やっぱり昨日葵が会った人は先輩じゃなかったんだよ。他人の空似ってやつ?」


本当に里美が言うように他人の空似なのかな。

あんなに似てるのに?


確かに名前はあったけど、あれは先輩が一年の頃の名簿。


その後の名簿は、不自然なことに全て消されているようだった。


「そうだ!休み時間にでも恭介に聞いてみようよ!恭介なら何か知ってるかもよ?」

「…うん…」


里美は私の不安な胸の内に気付き、「大丈夫だよ」と声を掛けてくれた。



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