存在認定恋愛論



俺は吸っていたタバコを
携帯灰皿に押し付けて、立ち上がる

そして…


「え!」
「走るぞ」

彼女の腕を掴んで
図書室を飛び出した。


なぎさは俺に引かれるままに走る


受験会場と図書室は
そんなに離れていないはすだ

何とか校内地図を思い出しながら
ひたすらに廊下を疾走する。


受験に遅刻…


「冗談じゃ、すまないよな」

走りながら
そんなことをぼやいてみた。


受験前に疲れさせるのは
少しばかり憚られたが、この際
そんなことは言ってられないだろう


「っ…!」

会場到着
受験開始まで、2分前。


…間に合ったか

俺は久しぶりの全力疾走に
肩で息をしながらも
なぎさを掴んでいた手を離す。

彼女も肩で息をしていた


「あ、ありがとうございます!!」
「いいから早く行け」
「はい!」

慌てて会場に入っていくなぎさの
制服のポケットに、別れ際
自分のポケットに入っていた
チョコレートを入れてやった。



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