破壊衝動
破壊衝動
今、あなたは何を想っているのだろう?

私にはあなたの心が覗けない。

手を伸ばせば触れられるのに、

近くて、遠いよ。

私の心が軋んで音を立てる。

痛いよ。

こんなにも、あなたを想うのに

寂しくて、悲しくて。

ぽろぽろと頬を伝う涙のわけさえ、伝えることができなくて。

諦めてしまえば簡単なのかな?

所詮は違う人間なのだからと。

分かり合えないのは仕方のないことなのだと。

うつむいた私は言葉を閉ざす。

口を開けば、言葉のナイフであなたを傷つけてしまいそうだから。

誰よりも大切にしたいのに、

どうしようもなく壊してしまいたい時がある。

そんな破壊衝動が、私の中で渦を巻く。

どうしてだろう?

お互い好きだったはずなのに。

振り上げた拳の行き先が私には分からない。

「仕方ないよ、僕らは違う人間なんだ」

分かりきったあなたの言葉が私をえぐる。

その瞬間に分かったことは、今でもあなたが好きなんだという事実。

だからこんなに苦しいんだ。

「だから、伝えあうしかないんだよ」

そう言ってあなたは笑った。

諦めようとした私。

諦めなかったあなた。

二人の感情がぶつかって、

破壊衝動は相殺された。

これから先も、私たちはこうやって生きていくのだろう。

繰り返しやってくる破壊衝動と闘いながら。

何度も何度も。

大切な人と生きるために。
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