空夢





足音があたしの横で止まる。



座る音がしないってことは、横に立っているのか…。




…早く座って。




あたしは机に顔を伏せたまま、思った。




ガタン──




松野空がイスに座る音がした。




はぁ…。




あたしは心の中でため息をついた。




カサッ──




紙か何かが腕あたった。



机の上を見ると、1枚の小さな紙切れが置いていた。




…何これ。




その紙を見ると、中には




『同じクラスやな! てゆーか、もう泣いてへんか?』




と書いてあった。




そんなに何度も泣くわけないっつーの。




あたしは筆箱からシャーペンを取り出し、紙に




『もう泣かないし』




と書いて、隣に渡した。




この日からあたし達の声の無いやり取りが始まった。








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