セイントロンド

・余興と幕開け



「…………くっ……」

―シュンッ


風がいくつもの刃となって襲いかかってくる。


―ビュンッ


「オノレ!!!!」

魔女の攻撃の隙を狙い、何とか反撃をするがダメージは少ない。


やっぱり抑えたままじゃ…


ワルプルギスの夜までに私を殺す気?


「ワルプルギスノ子…オ前ハアノ方ヲ苦シメル存在!!生カシテオクワケニハイカナイ!!!」

「あの方……大魔女リリスの事?悪いけど、前回のようにはいかないよ」


今回は私が封印をする。
出来るだけ長く、次の聖女が自分の運命を選べるように………


「私は本気で大魔女リリスを封印する。魔を司る全てを見逃さない」


「…ワルプルギスメ…先ニ裏切ッタノハ貴様ダトイウノニ…」


先に…裏切る……?
一体何の事?


「アノ方の悲シミノ深サ…負ッタ傷ノ痛ミ…私タチハ許サナイ……」


「一体何の話をしてるの?」


「何モ知ラヌカ…当代ノ聖女ヨ…。知ラヌ事ホド罪深イ事ハ無イ!!!」


―ザシュッ


「ぐっ!!!」


油断したせいで右腕を風に傷つけられた。


ポタンと赤黒い血が地へと落ちる。


腕…使えなくなったか…


指を動かそうと力を入れても、指はピクリとも動かない。


「…貴様ハ何故ワルプルギスノ血族ニ聖女ノ力ガ宿ルト思ウ?」


何故…なんて………
考えた事もなかった。


ただ当たり前に与えられた運命と力。


理由なんて…………









< 39 / 99 >

この作品をシェア

pagetop