Dummy Lover
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あの、金城瑠璃と協力という名の契約をした日から、アイツとは一言も話していなかった。
あの日は、「協力する」と言っただけで終わったから、具体的に何をするかも分からない。
だから、俺は幼なじみである由愛が、白谷泉に危険な目に合わされていないか、由愛の様子で探ることしかできなかった。
由愛から、直接、「白谷と付き合っている」とは聞いていない。
でも、もうあの日から、あっという間に学園中の噂となったから、由愛は俺が白谷とのことを知っていると、分かっているのだろう。
あえて改まって言うことでもない、と思っているんだと思う。
「でも、なー…」
俺は、1人きりの自分の部屋でベッドに寝転びながら、ため息混じりに呟いた。
「やっぱり、直接聞かねーと、話題にはできない…」
そう。なんとなく、由愛はその話題を避けている気がするのだ。
『白谷のことは聞かないで』オーラが、出てきている気がするのだ。
長年連れ添った幼なじみの、勘というやつである。
「俺、頼りねー…」
次々と独り言が零れ落ちる。
でも、何か言ってないと、どうにかなってしまいそうだった。
独り言でも呟いておかないと、いつか、由愛の目の前で、ぶちまけてしまいそうだった。
由愛が誰か他の男と付き合うなんて、前にもあったけど。
今回は何かが違う。
……親密すぎる気がする。
何かを、共有しているような。
由愛と白谷にしか分からない、空気みたいなものを、2人とも背負っているように見える。