RAIN DROPS -初めての恋-




亜美の言葉に、少しだけ永瀬くんを思い出してトクン…と胸が高鳴った。



「あれ~?図星ぃ~?」

ニヤニヤと亜美が聞いて来たとき、運良く先生がドアを開けて入ってきた。



「SHRの後、席替えするから早く座れー」


みんなが妙に浮き足立っていた理由はこれ。

亜美が席替えの話をした理由もこれ。



うちのクラスでは月の初めに一回ずつ、席替えをする。

色んな人と仲良くなるためらしい。

席は公平にくじ引きで決める。


あっ!
隣になれば永瀬くんに傘を返せるかもしれない!

それだぁっ!



“永瀬くんと少しでも近くにしてください”

そう思ったあたしは先生の話は聞き流して、必死で神様に祈った。



SHR終了後、わらわらとくじ引きをしに教卓に集まる。

周りでは早くも、悲鳴と歓声が聞こえていた。


んー、これ?
でも、これかな?


机に無造作に置かれたくじを
あたしは真剣に選んだ。




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