紙のない手紙
「確かに…アンタの言う通り、全てが夢だとすると、本当の遺志は伝わらないかもしれない…そこに手紙の意味は無いのかもしれないわ…でもね…」









リンは穴の中でまだ泣いている彼女から俺へと目を移した。









「例えまやかしでも、満たされる、救われる思いもあるんじゃない?」











俺は穴の中を見た。













リンの言葉にまだ納得出来なかった。









ただ…









手紙を感じ終えたらしい彼女が、その場で笑顔で泣いているのを見て…









これでもいいのかもしれない…












少しだけ、そう思えた。
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