琥珀色の誘惑 ―王国編―
「舞、約束するんだ。二度と私の傍を離れぬと。お前が砂漠に迷い込んだと聞いた時……お前を失うのかと思った」

「ごめんね。逃げてるうちに、気がついたら砂漠を車で走ってて……」

「今、女にも運転許可を出そうとする動きがある。あと数年待て、よいな」


そんなことを言いつつ、ミシュアル王子の唇は舞の肌から離れようとしない。

次第に、上掛けの中に舞を引き込み、体をピッタリと重ね始める。

左肩の傷は、白い包帯が両脇を通して巻かれていた。大したことはない、と言うが……。ミシュアル王子の肌に頬を当てると、やはり少し熱っぽく感じる。


「ねえ、アル。少し、体が熱いよ。こ、んなこと……して、ないで、横になったほうが……良くない?」


顔を上げると絶え間ないキスの攻撃を受け、舞の言葉は途切れ途切れになる。

しかも、そんな舞の心配をよそに、ミシュアル王子の返事は……。


「お前の言う通りだ。では、横になろう」

「え? ええっ?」


なんと舞を自分の上に乗せ、キスしたままベッドに転がったのだ。


「もう、アルの馬鹿! そういう意味じゃないでしょ」


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