琥珀色の誘惑 ―王国編―
なるほど、と舞はようやく納得した。
入浴前から何回頼んでも、シャムスは舞のことを“お妃様”と呼び続ける。理由は不明だが、ミシュアル王子の命令なら納得だ。
「そ、そんな……いいえっ! アルが何と言おうと、例え国民が認めても、クアルン王家のほとんどがお前を認めてはいませんからっ。お前のような恥知らずは、必ずこの国から追い出してやるわ!」
黙って聞いていれば、あまりにあまりな言われようである。
シャムスの言葉使いから、おそらくは身分の高い女性なのだろう。でも舞を連れて来たのは、この国の王太子――ミシュアル王子の身分は、ライラの下ではないはずだ。
「言っときますけど、少なくともわたしは、あなたの風呂場に怒鳴り込むような恥知らずじゃないわよ」
「なんですって!? わたくしが誰か知っていて口答えしているの?」
「知るわけないじゃない。名乗ってもいないくせに」
「わたくしは――ライラ・ビント・マッダーフ・アール・ハルビー。クアルン王家の一員です。そして……王家の長老が認めた、ミシュアル王太子の第一夫人よ!」
入浴前から何回頼んでも、シャムスは舞のことを“お妃様”と呼び続ける。理由は不明だが、ミシュアル王子の命令なら納得だ。
「そ、そんな……いいえっ! アルが何と言おうと、例え国民が認めても、クアルン王家のほとんどがお前を認めてはいませんからっ。お前のような恥知らずは、必ずこの国から追い出してやるわ!」
黙って聞いていれば、あまりにあまりな言われようである。
シャムスの言葉使いから、おそらくは身分の高い女性なのだろう。でも舞を連れて来たのは、この国の王太子――ミシュアル王子の身分は、ライラの下ではないはずだ。
「言っときますけど、少なくともわたしは、あなたの風呂場に怒鳴り込むような恥知らずじゃないわよ」
「なんですって!? わたくしが誰か知っていて口答えしているの?」
「知るわけないじゃない。名乗ってもいないくせに」
「わたくしは――ライラ・ビント・マッダーフ・アール・ハルビー。クアルン王家の一員です。そして……王家の長老が認めた、ミシュアル王太子の第一夫人よ!」