琥珀色の誘惑 ―王国編―
(何と言うことだ! 舞が……可愛い過ぎる)


本人以上に、彼女の変わり様に驚いていたのがミシュアル王子であった。


これまでのことを考えれば、それも当然だろう。

クアルン女性と比べたら、舞は自己主張が強く、かなり我がままだ。初夜の強行突破といい、敷布の掲揚といい、大騒ぎになることを内心覚悟していた。


ところが! 

舞は意外にもミシュアル王子を責めることはせず、より深い愛情を示してくれたのだ。これは彼にとって最上の喜びだった。



ただ、初夜に関して言えば、ミシュアル王子だけを責める訳にはいかない。


クアルンでは嫁ぐ前に、母親から娘だけに伝えられる“結婚の心得”があった。

それは、総じて経験の少ないクアルン男性の自信を損ねない貴重な教えである。


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