琥珀色の誘惑 ―王国編―
『全く、私ともあろう者が、妃の言いなりとは』


そう言って舞の腕を掴み、


「寝室は取り止めだ」

「コーヒーがいいの?」

「馬鹿者――この場で覚悟致せ」


グイッと引っ張り、抱きかかえるように膝の上に乗せた。


初夏の陽射しを受け、琥珀色の瞳に熱が宿る。

舞はゆっくりと目を閉じ、ミシュアル王子の情熱を唇で受け止めた。


「舞、愛してる」


鼓膜に愛の言葉が響く。

そして、彼女の口から零れたアラビア語――『あなたを愛してます』


永遠に続く……砂漠の国のラブストーリー



――アッ・サラームアライクム(あなた方の上に平安がありますように)――





                             ~fin~


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