こちらミクモ探偵事務所4

好きな男に囁かれ、反応しない女などいない。
紘哉の思惑通り、彼女はゆっくりと体を起こした。

「……毒リンゴを食べた白雪姫は、王子様のキスで目が覚めるのよ。知らない?」

「俺の知っているのは、死体を運んでいるうちにリンゴの欠片が飛びだして、白雪姫が目覚めると言うやつだが?」

「もうっ!ロマンが無いのね」

そう言って、小さく頬を膨らませる夏紀。
色々と変わってしまったものの、わずかながら六年前の面影も残っている。

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