こちらミクモ探偵事務所4
「分かってくれたならそれでよし」
「ひどっ!」
羽兎はそっぽを向いた。
見るからに不機嫌そうな顔をしている。
紘哉は無言で引き出しから帽子を取り出した。
羽兎のかぶっている、ホームズの様な帽子。
「ワトコ、忘れ物だ」
紘哉が呼び掛けると、羽兎は横目でチラリとデスクを見た。
そして、サッと帽子を取る。
「……ありがとう」
ボソリと呟く。
「何だって?」
聞こえていたが、故意に聞き返す。