こちらミクモ探偵事務所4

「分かってくれたならそれでよし」

「ひどっ!」

羽兎はそっぽを向いた。
見るからに不機嫌そうな顔をしている。

紘哉は無言で引き出しから帽子を取り出した。
羽兎のかぶっている、ホームズの様な帽子。

「ワトコ、忘れ物だ」

紘哉が呼び掛けると、羽兎は横目でチラリとデスクを見た。
そして、サッと帽子を取る。

「……ありがとう」

ボソリと呟く。

「何だって?」

聞こえていたが、故意に聞き返す。

< 344 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop