アイドルな王子様
 待ち合わせは夜7時。

 私のホテルのロビーでだった。


 いささか気合いを入れすぎてしまった私は、19時ギリギリで慌ててエレベーターに乗り込んだ。


 1階に降り立ち、辺りを見回す。

 もしかしたら、少し待たせちゃったかも知れない。


 別れたときと同じざんばらひっつめ髪にTシャツジーンズ姿を捜すけれど、見つからない。


 オフホワイトとゴールドを基調にした荘厳な大理石造りのこのロビーでは、聖夜さんなら目立っちゃうかも知れない。

 想像すると、内から温かい笑みが込み上げる。

 ニヤニヤと顔をほころばせつつも、私の目はせわしなく彼の姿を捜す。
 早く会いたくて。




 まだ来てないのかな?

 そう思って、豪奢な革張りのソファに腰を下ろそうとしたとき、目の前にすらりとした長身の影が立ちはだかった。




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