世界の終わりに隣に君がいてくれたらそれだけでいい…
第6話 エッジ
 次の日から、私は死んだようになっていた。

 何もしたくないし、何も見たくもない・・・。

 憎らしいほどに穏やかな天気が不愉快でしかない。
 
 縁側に座る気にもなれず、どうしていいんだかわからなくなる。

 もうレイはこない・・・。

 もうレイに会えない・・・。

 自分から、そう仕向けたくせして私は何を言ってるんだろうか?

 大人のくせして・・・。

 祖母が心配そうに私に話しかける。

「あの男の子来ないの?

 あなた、あの子が来たら元気になってたでしょ。

 ありがたいと思ってたんだよ・・・。

 生きる気持ちになってくれたんだって思ってね。

 あの子来ないのかね?」

 私は黙っていた。

 それから3日が経ち、また一週間が過ぎても彼は現れなかった。

 当たり前じゃない。

 あんな事言ったんだから・・・。

 私は変だ。

 自分にそう言い聞かせながらも、もしかしたらレイがまた現れるんじゃないかって思ったり・・・。

 ぼんやり縁側に座りながらレイを待ってた。

 夜も辛いけど一番キツいのは、こんなお天気の日曜日。

 公園にカップルとか家族連れとかがいたりすると気分がとても滅入る。

 自業自得って言葉以外見つからない。

 あいかわらず夫からの電話もメールも
ない。

 それに関してもう興味すら湧かない。

 どうでもいいって思う・・・。

 夕方になり縁側に座る。

 リハビリをする気にもなれず脱力感だけが私を蝕む・・・。

 遠くに見える夕日にわけもなく悲しくなってたりする。

 私は精神的に参っていた。

 その訳は、自分がよく知ってる。

 私はやっぱりレイが好き・・・。

 レイに会いたい・・・。

「神様お願いです。

 もう一度レイに会わせて下さい。」

 自分にまだこんなセンチメンタルな感情があったなんて・・・。

 私は心から願った・・・。

 目を閉じたまましばらくそのままでいた・・・。
 
 その時だった。

「俺にキスしてもらいたいとか?」

 私は聞き覚えのある声に心臓の鼓動が高鳴る。

 目を開けるとレイがいた。

「あの・・・、そのまま目を閉じててもらえますか?」

 レイの優しい声がすぐそばに感じた。

 言われるまま私は目を閉じた・・・。
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