世界の終わりに隣に君がいてくれたらそれだけでいい…
第3話 リアル
 私の足はどんどん歩きにくくなり、中に入ってるプレートが骨に当たる感触がダイレクトに痛みを感じる。

 ますます歩こうって気持ちは失せきり、この先の不安に苛まれるたびに夜が怖くなった。

 最近じゃ、睡眠薬を飲んでもなかなか眠れずにいて私は夜中にボッとしてる事が多くなっていた。

 夫は週末にだけ私の様子を見に来ていたのが最近ではそれさえ遠のいた。

 電話をしても留守電か、出てくれないかで私を避けているのが分かりすぎる。

 ますます夫に対しての憎しみで一杯になっていた・・・。

 こんな事故に遇わせておいて自分は普通に仕事したり、自由にどこへでも行ける。

 それに比べて私は、ほんの数歩の距離を歩く事さえ苦痛で当たり前の動作がまるで出来ない・・・。

 階段の登り降り、段差の回避、色んな日常をクリアして行かなければならない・・・。

 逃げたらそこでおしまい。

 私は多分、2度と歩けなくなるだろう・・・。

 孤独な戦いには支えてくれる誰かが必要・・・。

 このままじゃ、私は気が狂いそうになる。

 朝になると祖母と食事を済ませて、神社を歩いた。

 冷たい空気が気持ちいい。

 立ち止まる事が許されない自分との
戦い・・・。

 私の後をクラウディオ(猫)がついてきてた。

 クラウディオ・・・。

 ありがとう。

 私、がんばらないとねっ?

 クラウディオ~っ!

 その時、あの少年が現れた。

 昨日の事にちょっぴり恥ずかしくなった私は、彼と目を合わせるのが照れくさかった。

 クラウディオは彼の足にまとわりつき、 甘えてる。

「あの・・・、俺、風間レイって言います。

あなたの名前は?」

 キスした相手の名前をお互い知らないなんて笑っちゃう・・・。

「私は雪村瑠風(ユキムラ ルカ)。」

「雪村さんっすか・・・。

 あの雪村さん、これから毎日会いにきていいっすか?」

「毎日?

 あなた学校辞めたって言ってたけど、この先どうしょうとか考えなくていいの?」

 すると、彼は私にちかずいてくるなり耳元でささやいた。

「俺あなたのそばにいたいんで・・・。」

 木々が揺れる。

 風か吹く。

 私の髪を撫でる手に目眩がした。

「学校なんか大嫌いで、つーか勉強がもう嫌なんで・・・。」

 そこまで言うとキスをしてきた。
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