花咲く原石
「オーハル、シイラを頼んだよ。」

「…はい。」

言葉がつまってすぐには答えられなかった。

それでもダイドンに彼の思いは伝わったのだろう、穏やかな笑みを浮かべると目を閉じる。

「君との出会いに感謝する。」

目を開けて始めて口にした言葉をオーハルは重く受け止めた。

いつになくダイドンは真剣な眼差しで強く訴えてきたからだ。

その理由をオーハルは誰よりも知っている、だから彼の気持ちへの答えに力が入ったのだろう。

「私もです!ダイドン。」

オーハルの気持ちが嬉しかった、ダイドンは何度も頷いて惜しみ無く目尻のシワを深くした。

そして腕の中にいるシイラに問いかける。

「シイラ、オーハルの言うことをよく聞くんだよ?」

その言葉に促されてダイドンからゆっくり身体を離した。

震える手で涙をぬぐうとシイラはしっかりと頷く。

「はい、お父さん。」

「…いい子だ、私の可愛い娘。」

ダイドンは軽くシイラの両肩を押して出ていくように促す。



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