花咲く原石
「貴女の大切な荷物は私が運びます。しかし利き肩ではない為少し不安定ですから…シイラ、後ろから支えてくれますか？」

ギスギスした雰囲気がなくなり、オーハルはいつものように穏やかな口調でシイラに耳打ちをしてきた。

突然の出来事に耳に手を当てて顔を赤くしたが、オーハルはにこやかに笑うだけだった。

「もちろん。ありがとう、オーハル。」

はにかんだような笑顔を見せてシイラはオーハルの後ろにつく。

「行けるのか？」

リトから確認の声がかけられる。

「うん、お願いします。」

「分かった、じゃあ付いてきて！」

リトの声に促されシイラたちは歩き始めた。

リトに続いてオーハルとシイラが並ぶ。

リトは何となく気になってオーハルの様子を伺うが彼は思い切り不機嫌な顔をしていた。

「おーおー…ガンガンに睨まれてるよ。」

そこまであからさまに警戒されると苦笑いしか出来ない。



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