嘘つきな君からのキス
手に


――


安静に家で寝てれば良かったんだ。


朦朧とする意識の中で落胆する。

私は生まれつきの発熱体質だ。ちょっとしたことで、すぐに熱が出て寝込んでしまう。

自分の事は自分がよく知っている筈なのに、どうして朝からだるかった体で学校に来たのか。愚か者と言う他ない。

熱が出るのは当然だ。

上手く焦点が定まらない目を閉じても勝手に目が開き、まるで眠れない。


保健室なんて落ち着ける筈が無いんだから、最初から家で寝てなよ私。


自分で自分に呆れを持ってしまえばどうしようもなかった。

静寂に包まれながら、今教室で行われているであろう数学の授業風景を浮かべる。前回も出れなかったからどんどん遅れていく。


このままで大丈夫かなぁ……


心配した所で何かが変わるわけでもなく、せめて早く体を直そうと今度こそ固く目を瞑った。







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