嘘つきな君からのキス


ああ、ごめん。と言い、腕の力が緩められる。

速くなる胸の鼓動は、苦しかったせいだけではないのだろう。熱い体のせいだけではないのだろう。


「っ……」

「……まだ、熱あるね」


三神くんに額を触れられて強くなった鼓動がその証拠。

もう、それだけでいい。それだけでよかった。


「……こうしてるとさ、最初の頃を思い出すね」


そう振り返るのは、私と三神くんの関係が始まった日。


「そうだね」


同意はするけれど、私は嫌な方へ、嫌な方へ考えてしまう。あの日からが嘘だったのか。とか。

三神くんはそんな私の考えを知ることもなく続ける。


「逢坂には、興味はあったんだ。病弱で、俺と一緒の保健室の常連ってことで」

「うん……」


話をちゃんと聞こう。今なら何故かそう思えた。
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