嘘つきな君からのキス
額に


――


「ごめん!」


それは私が散々吐き出した謝罪。でも発したのは私じゃなく鳴瀬くん。

とある休み時間の廊下にての出来事なのだが当然身に覚えがない訳で。


「あ、あの、何の事?」

「朱さんが言ってたんだ。れーちゃんが熱出したのは考えすぎの悩みすぎだって。それって、僕が言った事……だよね?」


眉を下げて不安そうに見つめる目に肯定も否定も出来ない。故にそれは相手から見れば肯定と取られてしまうらしく。


「そんなに悩まなくてもいいんだよっ。僕の勘違いって言うか……多分、見解外れだし……」


あれやこれやと、あの言葉を薄める作業をする鳴瀬くん。だけど逆に浮き彫りになってきていて、気にせずには居られなかった。


「……あの言葉の続き、何だったのか教えてくれないかな?」


控え目に言葉を遮るとピタッと口を閉ざした。




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