妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 元々その少女とは、頼長とその娘・多子(まさるこ)の気まぐれで出会った。
 河原院の鬼伝説を確かめたいという多子姫の希望により、頼長が知り合いから得た情報を元に、蓮台野の地に居を構える外法師・呉羽を招いたのだ。

 主人の命により迎えに行ってみると、呉羽というのは巫女装束をまとい、腰に大太刀を佩くという出で立ちながら、まだうら若い美少女であった。

 右丸とさほど変わらぬ歳のわりに、周りの人間を拒絶するような空気をまとった呉羽は、評判通り右丸の中の烏天狗を見抜き、河原院の鬼も退治した。

 その強さ、その美しさにすっかり魅せられた右丸だったが、どうも彼女には、いい仲の男がいるようだ。

 そはや丸という名のその男は、二十歳前後の青年だが、貴族のような風体でもない。
 下品とまではいかないまでも、上品とは言えない態度からして、地下人であろうと思われる。

 だが、彼は呉羽と一緒に住んでいるのだ。
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