無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 いつもより観客が多い、このレースでも、一位が取れたら、すげー気持ちイイはずだ。


 俺は、やる気満々だったし。


 ま。


 今まで、無敵だったから、あんまり心配はしてないが。


 俺が上手く走れるかどうかは、コイツに掛かっているからな。


 レース直前。


 パドック(馬の様子を最終確認する場所)を回る時に。


 ちょっとは、元気を出してもらおうと。


 今日も頑張ろうぜって、めったに媚びない俺が、ヤツにすり寄った時だった。


 アイツは、俺の鼻面を抱いて言いやがったんだ。


「……今日が、お前と走れる、最後の日かもしれない……」



 ……は?



 なんだそりゃ!



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