無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 もし、折れてたら。


 こっちの意見も聞かず。


『生きている方が辛いだろう』


 と、勝手に決めつけた、大きなお世話な人間に、殺されていたかもしれない。


 でもまあ、足を痛めても、何とか命をつないだ俺は、とりあえず、ご機嫌だった。


 足の故障で、次に来る大舞台のダービーには欠場が決まったものの。


 サツキショウを制したことは、制したんだ。


 後は、足の治療さえ、ちゃちゃちゃっと終われば、また。


 アイツが俺の背に乗りに来るだろう。


 そしたら、また。


 俺の肩に翼が生えて見えるほど、立派な走りって言うヤツを、世間に見せつけるコトが出来るんだ……と思っていた。


 

 ……ところが。

 事態は、そう、甘いもんじゃなかったんだ。


 
 




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