無口な彼が残業する理由 新装版
単純な私はただでさえ無表情の丸山くんが何を考えているかなんてよくわからないけれど、
彼は私よりずっとしっかりしている人なんだと思った。
一緒に過ごす時間が増えれば、
もっと言葉数が増えるかな。
もっと表情豊かになるのかな。
もっと笑いかけてくれるかな。
考えてみれば、まだ一度もデートのようなことをしたことはないし、
二人で飲みに行ったこともない。
丸山くんがいつから私のことを好いてくれていたのかは知らないけれど、
私が丸山くんを好きになってから今に至るまでは
きっとすごく短い時間だったと思う。
でも、
私本人としてはとても濃くて長い時間だったように錯覚している。