【完】君しかいらない
「そんなこと言うなよ……離したくなくなる……」



奏太くんがあたしの背中に腕をまわし、



最初はそっと…



次第に、力強く抱きしめられる。









この感じ……



久しぶり。



壊れそうにあたしを抱く腕が懐かしい。



あたしは逃げたりしないのに、



何度も、何度も力をこめては、



あたしの背中を引き寄せる。



「ずっと…こうしていてね……」



「愛梨ちゃん……もう、後悔しても知らないから」



後悔なんて……。



フッと頭をよぎる気持ちを、



あたしはかき消すように、静かに目を閉じた。












なにが一番いい選択なのか、



そのときの自分には、わかるはずもなくて。



あとで後悔したり、



懐かしく思うこともあるんだろうけど、



あたしは、自分が選んだ道を



信じて歩いていきたいな。



それが、この1年半で学んだこと。



いつも、前を向いて歩こう。



あたしが選ぶ道は、



いつも間違っていないはずだから…。







< 1,410 / 1,444 >

この作品をシェア

pagetop