【完】君しかいらない
家に入るときに、扉を押さえてくれてる安元くんと、今までで一番近い距離間になった。


整った顔立ちだけど、表情がクール過ぎて、冷たく見えるのかな…。


いやいや。実際、冷たいときもあるけど。


「何?見つめんなよ」


「みっ、見つめてないってば!安元くんって、安元くんって…優しいのか、イジワルなんだかわかんないよ」


あたしがそう言うと、フッと鼻で笑われた。






「どっちでもいーんじゃないの?つーか、俺、偽善者だから」


「えっ!?」


「な~んてな」


安元くんはそう言って笑うと、あたしの背中をポンと軽く押して、家の扉を閉めた。


カギを閉めるガチャッという音が、


何だか妙に、耳に残った…。




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