コイン★悪い男の純情
 「やりやがったな」



 バッチ~ン。



 今度は、薫がリサの頬っぺたを思い切り叩き返した。

 「何を」

 リサが薫の和服の襟ぐりをぐっと掴んだ。

 「何さらすんや」

 薫がリサのドレスを鷲掴みにした。

 二人は、『RIP』からすぐ近くの船大工通りの真ん中で、派手に取っ組み合いを始めた。

 野次馬が、みるみる二人を囲んだ。



 「ええぞ!」
 「もっと、やれ」

 「ピュ~~」



 野次馬が、野次と歓声を上げる。






< 89 / 162 >

この作品をシェア

pagetop