コイン★悪い男の純情
20話 青酸カリ
 二人はぶつぶつ言いながら、クラブの中に入った。
 藤村は二人をテーブルに座らせ、こっぴどく叱り付けた。

 あれ以来、リサは同伴を断るようになった。
 『RIP』のノルマは、同伴が週に3回。

 幾らマネージャが説得しても
 「暫くは、同伴はしたないんや」
と、リサはてこでも断り続けた。


 そんなある日、薫が結婚すると言う噂が流れた。
 結婚の噂を流したのは、薫自身だった。

 純一は薫と2日続けて同伴をして以来、『RIP』には顔を見せなかった。

 リサのその後の状況については、薫から電話で聞いていた。


 その時、薫に
「結婚すると噂を流してくれ」
と、純一が指示を与えていたのだ。


 リサは薫が結婚する、と言う噂を店の子を通じて耳にした時、怒りと嫉妬で、体中がぶるぶると震えた。


 (薫のあほんだら、今度こそ殺してやる)


(芝ちゃんに逢って真意を確かめたい。なぜ、逢いに来てくれないの)



 (なぜ?なぜ?なぜ?)



 リサは、純一に逢いたくて、逢いたくてたまらなかった。が、純一は『RIP』には、姿を見せなかった。


 純一への連絡方法もわからなかった。



 リサは、苦しくて苦しくて悶えていた。








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