短編集


『姫様の幸せは?』


この本を手にしたとき、望みが確信へと変わった。

完全に自分たちと二人の出会いと別れが一致した。


彼の脳には、常にいのりひめの存在があったらしい。

その姿をもう見ていられなくて、夕里さんは提案した。


「少し、離れてみましょう?私はあなたを信じてる。だってこんなににも一途なんだもの。こっそり探してないで、本格的に探してみて。でもそれを私はみている勇気はないから……少しの間だけ、離れましょう」


それは夕里さんの優しさだった。

そして別居し、王紫さんは祈姫……お母さんを探しに、夕里さんは香月くんと共にこの街に来て、私とお母さんに会った。





その話を聞いた後、私たちは母たちに告げた。


一生この人と一緒にいることを誓います……と。


王子様とお姫様の強い愛から、すでに始まっていたのかもしれない。

私たちの運命。
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