短編集


「未妃ちゃん、この子はクラスメートの絵巻亜綱(えまきあづな)」

「あ、は、はじめまして、秋和……です……」


亜綱先輩の目が、怖い……。


「亜綱、また邪魔しに来たの?」

「あぁ、スケッチブック忘れたの取りに来ただけだよ」


そう言って亜綱先輩は、私の近くにある机の中から、スケッチブックを取り出して――。


「じゃ、またね」

「あぁ、また明日」


――去り際に、私を……睨んで行った。


「どうかした?」

「あ、いえ。何でもないです」


萱瀬先輩を心配させたくない。

何より、気のせいかもしれない。


気のせいだと……思いたかった。
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