運命に導かれて 番外編


「あなたが何故ここに?」

本来なら主の去ったそこに一介のメイドがいるべきではない。
アリーとて、それはよくわかっていた。


だが如何なる理由があるにしろ、そこに残る形になってしまった以上説明責任があるだろう。


「申し訳ありません。実は…」


アリーは事の次第をかいつまんで話した。
よく見なくても、目の前のジャンの眉間に深く皺が刻まれていくのがわかる。


全て話し終わった時には盛大な溜め息が聞こえた。


「アリーもご苦労様でした。今日はもしかしたらもう此処には戻らないかもしれませんね。我々は声がかかるまで別の業務に当たるとしましょう。」


書類の束は元通りデスクの上へ整え、静かに2人は主が戻らないであろう執務室
を後にした。







< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop