マイスタイル
***

おれは自分の部屋に入り、いきおいよくドアを閉めた。


なんだよ。

そんなに、好きなのかよ。



あいつは、祥子は、好きな奴にはチョコを渡せない性格だった。

あいつは、作ろうと思えば作る。ことまではできる。

だけど、渡せないんだ。


あいつは、恥ずかしがり屋だから。恐れているから。


傷つくのを。



だからチョコを作らせて、おれに渡すようにさせた。

おれは、ちゃんと受け取るから。

受け取る奴がいるんだって、それで自信がついたら、あいつは自分の恋を叶えられるだろうと思ったから。


それで無理なら、不要になったチョコはおれがもらう。

そう、決めていた。



あいつが普段見もしない恋愛トークを見ていたのが驚きだった。

≪好きな人にチョコを受け取ってもらえなくって、友達にもらってもらいました≫


ショックだったんだと、だから、おれは‥‥




おれは壁を殴った。




あいつが離れた。

おれから、もう離れてしまった。


知らないうちにきれいになって、おれにいつも相談していた(させていた)恋じゃない、おれの知らない恋をして、


おれから遠ざかっていく。

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