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優愛

 次の日の放課後。バイトの面接がある私。


「あれ!?生徒手帳がない!」


 学校で騒ぐ私。桃が心配そうに私の元に寄る。
 どこかで落としちゃったかな?不安が募るばかり。


「どうしたどうした」


 こうちゃんと中川先輩が私に近付く。
 桃が私の代わりに説明してくれて
 2人も探すのに手伝ってくれた

 余裕を持っていた私が馬鹿だった。
 どうしようどうしよう。
 さっきまでは鞄に、あったはずなのに。
 何で鞄から消えてるの?
 ちょっと目を離したたけなのに…。
 目から涙が流れてくる。


「ばーか!何泣いてんだよ。ほら、俺も探してやっから泣くなよ」


 優しく私の涙を、制服の裾で拭くこうちゃん。
 ごめんごめん、謝りながら泣く私。
 こうちゃんと中川先輩は下駄箱など、教室に探しに行くと
 言って行ってしまった。
 桃と私は、教室近くの女子トイレへ向かった。


「やっぱりないね、生徒手帳…」

「うん…ごめんね、桃。手伝わせちゃって」


 しゅんとする私に、大丈夫大丈夫と
 笑って頭を撫でてくれた桃。その時。


「…捜し物はこれかな?柳原さん」


 突然声が聞こえた。この声は沼田さんだ。
 沼田さんの手には、私の生徒手帳が握られていた。


「最近、お前調子こみなんだよ!」


 沼田さんの隣にいる守山が
 私の肩を強く突き飛ばした。



「やめて!」


 桃が私の前にでる。大きく腕を伸ばして私を庇う桃。


「ぶりっこは引っ込んでろよ!」


「きゃぁっ!」


 突き飛ばされてトイレの扉に頭を
 強く打ち気絶してしまった桃。


「桃…!桃しっかりして!」


 体を揺すっても起きない桃。
 私は振り返り守山たちを睨む。


「何見てんだよ!ブス!」


 ドッ 蹴られる私。やめて、痛い。
 すると、黙って見ていた沼田さんが私に近付く。



「柳原さん、あなた。大谷先輩と幼なじみなんですってね?」


「だから、何よ…!何でこんな事するの!?」


 沼田さんを地べたに倒れながら睨む。
 すると、沼田さんは表情を変えた。


「…何で?それは、あなたが大谷先輩と仲良くしてるからよ!」


 怒鳴る沼田さんの声に驚く私。
 

「そんなことで、関係のない桃にまで酷い事するの!?」


「そんな事ですって?」


 グッ 私の髪を上に持ち上げる沼田さん。
 頭皮から激痛が走る。


「痛い…離して」


「あなたには関係ないわ。それにしても、この長い髪邪魔だね。雫、ハサミ」


 沼田さんは、守山にハサミを要求した。
 髪が切られる。その途端暴れる私。


「暴れても無駄なんだよ!お前なんか…お前なんか大谷先輩に嫌われてしまえ!」 


 ザクッ


「何で俺の女虐めてんの?」


 ポタポタ…。

 ハサミから血が流れ落ちる。
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