モノクロ*メランコリック


口をパクパクとさせる私を置いて、男たちは忌々しげにギリギリと唇を噛んだ。


「竜崎…アイツだけは、アイツだけは許さねえ……!」

「忘れもしねえ中二の夏…俺らはアイツにボコボコにされたんだ。病院送りにされて、退院したときにはアイツはただのいい兄ちゃんになっていた」


なんか語り出したのだけれど!!


仕方なく、彼らの回想に耳を傾ける。

えーと、竜崎くんがケンカをやめたのは、お母さんが倒れた中二の冬だったわよね。

彼らは中二の夏に、竜崎くんにボコボコにされちゃって。

仕返しを目論んで退院したら、竜崎くんはすっかり弟思いのいいお兄ちゃんになってたってことかしら。


「……それで?」

「ここからが腹立つ話なんだよ!!俺らがあのときの借りを返そうとケンカ売ったら、アイツなんて言ったと思う?」

「知らないわよ」

「『お前ら誰だよ』って言ったんだよ!!俺らは何ヶ月もアイツへの復讐を考えてたってのに、平和ボケしやがって…!」

「殴って病院送りにした奴のことなんか、いちいち覚えてないってかぁ、クソ!!」


…なんか、激しく面倒臭いわ。



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