モノクロ*メランコリック


だから、こんな風にずっと不機嫌でいることとか、あの寂しそうな顔をしたりとか。

そんなの、少なくとも私の前では、滅多になかった。


ケンカをしたって、結局私が寂しくなって、シロが折れて。

いつの間にか、仲直りしてる。

今までそうやってきたから、今のシロにどう接したらいいのかわからない。


…わかんない。


わかんないわよ、シロ。



「はい」

気づけば目の前のテーブルには、温かなホットケーキがのった皿が置かれていた。


「…ありがとう」


シロはまた、台所へ戻る。

私はその背中を見つめたあと、ホットケーキを食べはじめた。


「…美味しいわ」

「ありがと」


その後は、無言で食べ続けた。

それから、ちょうど食べ終わって、私がフォークを置こうとしたときだった。


まるで見計らったように、台所で私に背を向けたまま、シロが言った。



「…美愛子。もう、お互いの家に行くの、やめよう」



…………え?


一瞬、何を言われたのかわからなくて、理解するのに時間がかかった。



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