甘くて切なくて、愛おしくて


そっか、やっぱり臭いんだ..



「で、どうなのよ、佐野さんの事は?」


そう聞かれ、昨日の事を話す。すると大した自信ねとだけ言い、作業を続けた。



確かに楽なのは佐野さんだと思う。大事にしてくれそうだし、辛い想いなんてしなくても済む。
でも..


「ねぇ美香子?どうして人って辛いって分かってても簡単に止められないんだろうね」


「それってどういう意味?」


「辛いって分かってるの、きっとあの人を好きになるっていう事は相当な覚悟がないといけないって分かっているのに。それなのに諦めようとする自分がいないんだよね」



辛いならば止めてしまえばいい。


その辛さは勉強だとか、スポーツだとかそういうのではないのだ。



“人を好きになる”どうして簡単にその想いを棄てられそうなのにその人を好きになってしまうんだろうもっとその人の中に入っていきたいんだろうって思ってしまうんだろう。



「そうねぇ~難しいわね、ただ、そう思ったり、感じたりするのはあんただけじゃないとあたしは思うわけ」





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