甘くて切なくて、愛おしくて
いけないいけない、今は仕事中だった。
周囲を見れば電話が辺りいっぱいに鳴り響いていて、あたしも慌てて受話器を取ろうとした所で向かいの同僚が取ってくれた。
慌てて“ありがとう”のサインを送る。
「これ、課長から。どうしたの?具合でも悪いの?」
「..ううん、平気」
「具合悪いなら我慢しないで医務室行きなよ」
「ありがとう」
そう返事をすると安心したのか自分の席に戻って行った。
はぁっと大きなため息をついてあたしも仕事に取り掛かろうとキーボードに手をかけるも、朝の事がどうしても頭から離れず、あたしを悩ませていた。