涙の理由を、君は知らない

駅に着いて、徒歩数分の待ち合わせ場所へ。

少し混雑した店内を見ると、いた。

見覚えのある、愛しい背中。

三ヶ月振りの彼。

最後に会った時より幾分か伸びた髪は、いつもより天パに拍車がかかっていて、もふもふしていた。
相変わらず、犬みたいな髪。

ふ、と頬がゆるむ。

彼の座っている所まで行くと、彼の荷物が彼の正面の椅子を占拠していて私が座れない。


「荷物どかしてよー」


久しぶり、とかは言わない。

ノートに問題を解いていた彼が顔をあげる。『おおー』といって、長い腕を伸ばして自分の方に荷物を移動させる。私は空いた席に荷物を置く。

レジにいってアメリカンコーヒーを頼む。初めて来たけど、なかなかいい感じのお店だと思った。


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