この場所で。





「……今データ整理した分、書庫に入れてくるねー」


分厚い本を何冊か持ち、莉緒は書庫の方へと消えた。

















「……あのさぁ、雅人ってあの先輩と仲いいの?」


カウンターに肘をついて、直樹が聞いた。


「えっ、莉緒?あいつは……」



言いかけて、次の授業の予鈴が鳴る。



書庫はどういうわけかチャイムの音が届かない……莉緒に声かけないと。




「あ、お前先行ってて」


「あー……うん」




図書室をまばらに出ていく生徒たちの一番あとに直樹は出ていった。























「……莉緒っ」


「わっ、びっくりしたぁ」


「予鈴、鳴った」


「あ、うん。わかったー。

コレ片してから戻るから、先に行っていーよ」



脚立の一番上に立つその姿は、すごく危なっかしい。



分厚い本を片手に、さらに背伸びをしてやっと届くくらいの位置に並ぶ、同じラベルの本たち。


しまうたびにホコリが舞うのか、少し顔を背けながら作業を続ける。





「そんくらい、俺がやるのに」



莉緒が片手に持つ本を取ると、開いたドアの方から小さくチャイムの音が聞こえた。



「あれ、本鈴?」


「……みたいだなー」


「だから先行っててって言ったのにィ」











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