Quiet man
彼のうたた寝
暑い・・、それに五月蠅い。

関西って・・、

こんなに暑いトコだったか?






(茹だる様なあの場所・・?)








「・・・・バカヤロウ!!

帰れッ!クソ"ジャップ"!!」



体臭に入混じる

酒、女の香水や洋物の化粧品

男らの使用するローション、

葉巻、煙草など。


クーラーも利かぬ位に

ごったがえしてる

人、人、そして女達の熱気。


蒸し暑い夜、米軍基地内の

小さなホールには"異臭"と

云える程の立ち眩む匂いが

充満してる。


そんな劣悪な環境の中での

一心不乱のギグのまっ最中、

酒に酔った1人の米兵が何か

苛立ちを押さえきれずに

ステージ上のロックバンドに

怒鳴り散らし、

罵声を浴びせ続けていた。


一向に

___ 揺るがないリズムギター、

力強いドラム、ソイツを睨み

つけるかにフロントでギターを

掻き鳴らし、マイクに声をブツ

け続ける彼らの音は段々と

激しさを増す様にも聞こえる。



「ツマンねえンだよッ!!」



相手にされないの酔っ払いの

若い米兵に周りが指を差し、

大いに彼を嘲り笑っている。



それが酒癖の悪い新米兵士を

を煽ったか、ギリギリ歯を噛み

テーブルの上のビール瓶を掴む

と腕を勢い良く振り上げ、

ステージに向って投付けた。



瓶がマイクに当たって砕け、

破片と泡が派手に飛び散った。

それでも音は全然怯まない。

寧ろ激しくなるドラム。



フロントマンの頬にスッと一閃

の血の筋。その傷に触れる事も

せず、両サイドに居る

べースやギターにも目をくれずに。


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