Quiet man
「・・・ちょっと、

ふっくらした?」


「ハッキリ"太った?"って

聞いてもええで・・。」



帰りのタクシーの中、顔を

マジマジ見た挙句に彼は笑う。

あたしはちょっと複雑。




「あの・・何処行くん?」

「精のつくものでも

食べに行こうと思って。」


「てか・・さ。

あたし、まだ一緒に帰る

とかって・・決めてないよ?」




神足はすっかりそのツモリだ。

このまま雰囲気に飲まれては

何で別れたのか解りゃしない。


彼が溜息を着いて指輪もして

いないあたしの左手を握った。


そしてなぜ笑う・・?



「もうナギのお父さんにも結婚

するって、報告しちまった。」


「えっ・・・?」



あのお花とお線香は・・彼だ。



「もしかして・・父の墓に?」


「・・頭を下げにね。

"ナギを俺に下さいって"さ。」



どれだけ抜け目がないのか。

呆れる他なく、あたしも諦めて

笑った・・。


どうもあたしは強引な男に弱い。



「でも、やっぱり、」

「ダメだ、絶対に連れて帰る」

「神足さん・・、あたし・・」



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