Quiet man
一緒に暮らそう。
「ドンペリから始まって

・・ロマネ2本開けさせた

トコ迄は憶えてるんよ・・。」



朝。


あたしは酷い頭痛に額を抱え

ベッドで三角座りで呻ってた。



「ママさんがうちの稼ぎ頭

だから大事にしてくれって」



神足さんは好みを聞いた後、

そう云ってマグで

ブラックコーヒーをくれる。


"稼ぎ頭"だなんて・・

相当呑んだのだろう。


相手はママの客で

金に物言わせるヤナ男。

調子に乗せて

ガンガン飲ませてやった。


飲み比べに勝って

相手が帰った後、あたしは裏で

ぶっ倒れたそうだ。



「ぁあ・・ホステス失格だ凹」

「クッ・・。」



彼は笑った顔を見せない様に

背中を向けて

ベッドに腰掛ける。


彼は不思議だ。

こうしてる今も

特に触れようとはしない。


夕べの抱き枕状態が

夢だったのかと思えてくる。


哀れなほど

余裕なくガツっついた

雄猫みたいな

幼い男とは格が違い過ぎた。


それほど女には

不自由してないって事か。


正直、それは助かる。

今のあたしに、

他の男の人を受け入れる

心のユトリも準備も

無い様な気がしていたから。



「シャワー使う?」

「あ・・うん、ありがとう。」



洗面台には使い捨ての

歯ブラシまで置いてあった。

あたしの着替えの入った

バッグまで持って来てくれて。


酔っ払いの為に、

迷惑掛けちゃったな・・。



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