王子の魂 ―ワタシの想い―
―疑問―
その日の夜も
本人がこんなに近くにいるというのに

リュウとの妄想をした。

リュウとの妄想はもはや

私のクセでした・・・




その日の放課後も私は早めに帰った。

家に帰ると玄関でリュウが出迎えてくれた。

「おかえり。」
「た、ただいま・・・。」

私はぎこちなく返事をすると、リュウと一緒に部屋へ向かった。

「ねえ、出かける時はテレビつけていってよ。」

リュウが口を尖らせて言った。

「なんで?」
「だって、スゴイ暇だもん。自分じゃスイッチつけられないんだよ。」

リュウはテレビのスイッチをつける仕草をした。

「んー、分かったけど、お母さんが途中で消しちゃうかも。」
「でも、いいよ。一応つけておいて。」
「分かった。」

私は空腹を満たそうと近くにあったスナック菓子の袋を手に取った。

「それ、食べるの?」
「うん、なんで?」
「いや・・・。」

私は袋を開けるとスナック菓子を口に運ぶ。
リュウは私の手元をジッと見つめていた。

魂と言えども、あのリュウに見られているのだ。
私はドキドキしてスナック菓子をまともに食べることが出来ない。

「そんなに見ないでよ。」
「・・・だってさ、俺、食べれないんだよ?」

リュウは不服そうな顔をする。

そっか・・・
魂は食べ物を食べられないのか・・・

そう考えるとかわいそうになってきて私はスナック菓子を食べるのをやめた。

しばらくして、暇になったのか

「テレビつけて。」

とリュウが言った。

「自分でつけてよ」と言いたいとこだが、リュウにはそれはムリ。

私はテレビのスイッチを押した。
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