“俺の女”





「じゃあ、帰るね」



「気をつけてな」



「うん、ありがとう」





次の日



結局二日しか滞在しなかった
東京から去る





pm17:39




17時40分発の電車に乗り込む





発車ベルが鳴り響き
別れまであと数秒




ヒロさんは





泣いていた






ドアが閉まり
ゆっくりと進みだす





「ヒロさん‥」




ポケットに手を入れたまま
ゆっくりと歩きながら
電車に付いてくる







もう いいよ‥





ヒロさん





ありがとね





会えたこと
あたしの宝物だよ





あたしは




ヒロさんを忘れないから





「ありがとう‥!!」





何かを叫ぶヒロさん




後ろへと遠くなっていく姿に
あたしは目を追う






大きく口を開き




短い言葉だった





あたしもヒロさんが
東京に引っ越しする時
駅まで来て言いにきた言葉





嬉しい




幸せだよ





約束なんて




守れるわけないのに‥






"またな‥っ!!!"








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