詩集 無名の銃弾
優しさについて



『優しさについて』


君のいない生活を
想像することが出来ない

僕たちの淡く切ないつながりは
まだ続くんだろうか?
焦燥と不可思議な驚きの中で

僕の妄想では君が最後に
ありがとうって言うんだ
それを見る僕は
笑いながら
思わず泣いてしまうんだ
ただの妄想なのにね

思案の中で僕は呻く
子羊は誰かが回収するのだろう
君が帰郷するまで
座らない彼の人
その力は思案の中にはない
それだけは分かるんだ

だけど…ね…

イエスもアミターバも優しいな
人が理解できるという、こと
それが優しいんだ
いまそれに改めて気づく

だが実らないいちじくは
その場で枯れさせられる
それはもうひとつの側面
その以前は理解し難かった冷徹さを
優しさとして再び
目の当たりにした夜更けに







< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop