私の空・僕の先生
出会い
~空(そら)~
 先生と初めて出会ったのは、学校の屋上。ベンチに寝転んでいたオレの横に、先生は座って、背伸びをした。

「暖かくて、気持ちいいね」

オレはその言葉を無視したけど、先生はニッコリ笑って、オレの手を引っ張って起こした。

「君、新入生ね。私も新任なの。よろしくね。あなたの名前は?」

「藤田…空…」

先生は、目を輝かせて笑った。

「そらって、この空と、同じ漢字?」

「そうだけど…」

「キレイな名前ね。このきれいな空と同じだなんて、ステキ」

オレは何も言わず、屋上を出て行った。

…言わなかったんじゃなくて、言えなかった。

先生に…恋をしてしまったから。

廊下ですれ違う度に、胸がドキドキしたけど、先生はそんなことに気付かないで、あいさつだけをして通り過ぎる。

先生の周りには、いつもたくさんの生徒たちが輪になっておしゃべりをしている。

先生と、もっとたくさん話したい。

…それなのに、いつも逆のことをしてしまう。

「藤田君。」

「何?!」

口調が、つい怒ったみたいになる。

「遊びすぎて、寝不足?」

「そんなの、先生に関係ない」

「フフ、そうだね。…これ、課題提出してないの、君だけよ。今日中に提出してね。」

おれは、プリントをひったくるように取り上げた。

「めんどくさい」

「もう、そんなこと言わないで、ちゃんとやってよ。」

先生は、オレの肩をポンと叩いて、通り過ぎて行った。

先生は知らないだろ?

先生に触れられただけで、こんなに嬉しんだから。

先生の後姿を目で追う。

…先生、どうしたらオレの方を向いてくれる?オレの気持ちを、先生に伝えたい。



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