卒業
 期待はハズレ。
彼は教室の反対側の一番遠い席の由美の隣になった。私の幼い妄想は打ち破られてしまった。ちぇっ。

しかーし!席が隣じゃないってだけでめげる私ではない。何てったって一番仲のいい由美の隣!想像できるかもしれないが、休み時間の度に由美の席に「由美と話に来た友人」という設定で正樹の近くに行った。
 

 最初は好奇心だけだったかもしれない。初めて転校生に出会った私には、何だか外国から留学生が来たみたいな感じだった。けれど、みんなが周りを囲ってわいわい前の学校のことや趣味を聞こうとしても、彼の口はつぐんだまま。そんなこんなで数ヶ月経つと、彼に興味を持って話しかけてくる人はほとんどいなくなった。
 私もクラスのみんなと同様、彼に対する「転校生」という興味が薄れ、なんとなく教室に居る、居ても居なくても関係ない存在になっていた。
 

 ところが、その「なんでもない存在」はすぐに私の中からいなくなった。

 夏休みが終わり、小4の2学期になった。
学期始めといえば、恒例の委員決めがある。確か、クラス委員長・福委員長・体育委員・保健委員・図書委員があったかな?
 私はマンガ以外の本はあまり読まなかったが、学校の図書館の本に囲まれた空間が好きで、なんとなく図書委員に立候補した。委員は必ず男女一人ずつって決まっていた。
 私はマンガ以外の本はあまり読まなかったが、学校の図書館の本に囲まれた空間が好きで、なんとなく図書委員に立候補した。
委員は必ず男女一人ずつって決まっていた。
 
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