恋想曲 ~永遠の恋人へ~
第八章

二つの時計

今年初めて雪が降った夜

私は待ち合わせをしている桜丘高校の前に立っていた。



真っ暗な空から白い粉雪が降り注ぎ、

街灯の光がきらきらと雪を輝かせる。



白くなった息が、冬の寒さを感じさせた。




「ごめん、待った?」



首を横に振った私の鼻先が赤いことに気づいた柏木先輩は、

ポケットから出した温かいコーヒーを私の頬にあててくれた。


「俺が無理に誘ったのに、迎えに行けなくてごめんね」


「無理だなんて…誘ってもらえて嬉しかったです」



柏木先輩は、心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「大丈夫…?」


「はい。大丈夫です」


私は笑顔で答えた。





二人で校舎に入ると、古びた木の廊下の音が迎えてくれた。


懐かしい音…。


前よりも音が大きくなってる。





あれから15年…





以前よりも古びた校舎が、


15年の時が経っていることを感じさせた。













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